私が高校一年生の頃、わが家に新しい家を建てる話が持ち上がりました。
父は仕事から帰ると、夕食もそこそこに、設計士さんとの打ち合わせを始めます。
その横で私は、まだ子どもだったにもかかわらず、弟と一緒の部屋について「あんな部屋がいい」「こんな窓が欲しい」と、生意気にも夢を語っていました。
今のようにインターネットもなく、住宅展示場も多くありません。どんな家が完成するのかは、設計士さんや大工さんを信頼して待つ時代でした。
工事が始まると、父は朝早く現場へ向かいます。
大工さんと笑顔で話をし、一緒にお茶を飲みながら、出来上がっていくわが家を本当に嬉しそうに眺めていました。
子どもの私は、「父は家が好きなんだな」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、家づくりの仕事をするようになった今なら分かります。
あの時、父が見ていたのは建物ではありませんでした。
家族が幸せに暮らす未来を見ていたのです。
家を建てるということは、ご家族の夢や希望だけでなく、「この家で家族を守っていく」という大きな責任を背負うことでもあります。
その想いは、どれだけ時代が変わっても、どれだけ家の大きさや価格が違っても変わることはありません。
だから私は、お客様を「契約者」と考えたことは一度もありません。
父と同じように、ご家族の幸せを願い、大きな決断をされた一人のお施主様として向き合っています。



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